今後2年以内に、ゲーミングプラットフォーム企業はゲーミングをこれまでにないレベルに引き上げるはずです。
成長予測によれば、プレイ時間とユースケースが爆発的に増えるはずです。前回の記事で解説したとおり、これはトラフィック量と低レイテンシエッジの要求に大きく影響します。
ゲーミングでは、データ処理の負荷がユーザーのゲーム機とクラウドで共有されます。特に、画像処理の速度は、全体的なユーザー体験を大きく左右します。
コンピューターグラフィックスの基礎的な指標であるフレームレートは、連続した画像(フレーム)を取得または表示する頻度を測定します。アルファチャンネルブレンディングと4K解像度のおかげで、ゲームが最高毎分60フレーム(fps)でストリームされることも珍しくはありません。しかし、120~400 fpsが出現するのも遠い未来ではないはずです。
同時に、フレームサイズそのものも大型化しています。画像はSDからHDへ、さらに4Kへ進んでおり、AR/VRの普及が進むにつれ、いずれは8Kに達します。同時に、8K適応型ビットレート(ABR)ストリームチャンネルを同期する必要があり、また転送レイヤーでの復旧機能はまだ一般的には効果を発揮できていません。
こうした傾向は、ユーザーの体験品質(QoE)に二重の負担をかけます。それらをサポートするべきネットワークに対してやがて訪れるこの現実と、その意味について詳しく見てみましょう。
低レイテンシはゲーミングに不可欠ですが、達成は困難です
ゲーム機とクラウドの間で、フレームが遅れたり転送中に失われた場合は? ゲーマーにはモザイク、ぼやけ、断続した画面が表示されます。(その後すぐ、ソーシャルメディアで噂が広まります。)
業界標準は、クラウドのレンダリングサーバーからゲーム機までのレイテンシを20ミリ秒以下に抑えることです。これには、クラウドでのレンダリング時間、クラウドを通じる転送時間、ネットワークの順応性から発生するレイテンシ(クラウドのリソースの拡張または縮小)、地中で自然に発生するレイテンシが含まれます。
地中でのレイテンシ? はい、地中の光ファイバーで、パケットが1km移動するのに約5ミリ秒かかります。つまり、カリフォルニア州のデータセンターからニューヨークのユーザーへパケットが移動するまで25ミリ秒かかり、海外ユーザーであればさらに長くなります。20ミリ秒のレイテンシ予算をすでに超過しており、データはまだ全く処理されていません!
わかりやすい解決法はレンダリング場所をユーザーへ近づけることであり、この場合はクラウドがユーザーの場所を把握しなければなりません。今日のゲーミングはWi-Fiまたは有線接続で行われますが、次世代のモバイルネットワークがここで役割を果たしつつあるのがわかります。AR/VR体験が普及するにつれ、ゲームサービスはユーザーの位置を知り、レイテンシを最小限に抑えるために、500~1000km以内にあるデータセンターへトラフィックを誘導しなければなりません。
ゲーミングサービスはオンデマンドでアクセスポイントとリソースを拡大または縮小できるインテリジェンス性と敏捷さが必要です。家庭内で数名のプレーヤーが集まる状況から、一か所で数十名または数百名のプレーヤーが集まるゲーミングイベントなどを考慮しなければなりません。クラウドサービスは、利用が激増した場合はユーザーの近辺にあるクラウドへトラフィックを誘導してリソースの規模を大きく拡大できなければなりません。
クラウドサービスは、利用が激増した場合はユーザーの近辺にあるクラウドへトラフィックを誘導してリソースの規模を大きく拡大できなければなりません。
ジッター:レイテンシ以上に深刻
レイテンシ、またはジッターの変動はどんなときも悪影響を及ぼします。低ジッター(中央レイテンシの5%未満)は、レイテンシが予想しやすくなることを意味し、ネットワーク対応のゲームすべてが目指す目標です。エンドツーエンドのレイテンシと同様に、ジッターもネットワーク、処理時間、クラウドと画像処理から得られます。
クラウドでの画像レンダリングは、予測可能なレイテンシを持つ専用ASICやCPUではなく、柔軟なソフトウェアを対象するため、ジッターを左右します。10万のハードウェアGPUで構成されるレンダリングファームでは、ジッターが大幅に影響を受けます。
AR/VRゲーマーの観点から見ても、ジッターは大きな影響力を持ちます。すべてのヘッドセットへデュアル8Kチャンネル(右目と左目のそれぞれで8Kずつ)を提供すると、データレートが4倍になり、チャンネル数は倍になります。しかし片方のチャンネルがもう一方から遅れると、左右の目が同期されなくなります。これは頭痛を生みます。
Gaming platform “Metaverses” must handle mixed reality at enhanced frame rates and resolutions, with ever-shrinking latency and jitter requirements.
また前回のブログ記事でも紹介しましたが、ゲーミングプラットフォームはイマーシブエンターテイメント、ソーシャルメディア、eコマースで構成されるメタバースの入り口となります。このため、顧客を惹きつけ引き留めるために、体験品質、特にレイテンシとジッターを細かく制御しなければなりません。
メタバースの未来に向けテスト
現在市場へ投入されるゲーミングプラットフォームが、平均7年間の寿命の全体を通して、増え続けるトラフィックのニーズに応えるようにするにはどうすればいいのでしょう?
Spirentは顧客との提携を通じて、初めに以下の重要なテストケースを実行することが重要であることを認識しています。
プラットフォームが今日のトラフィック負荷に耐えられるようにすること
次世代のトラフィックパターンをエミュレートして将来的なエンドツーエンドのパフォーマンスを測定すること
ユーザーとデータセンター間、およびデータセンター同士で、エンドツーエンドのレイテンシとジッターを判定すること
レイテンシとジッターのわずかな変動幅を測定すること
同時性、ユーザー数などをテストすること
最も脆弱な接続箇所を特定すること
プレーヤーは良質な体験を当たり前と見なしますが、品質不足は長い間憶えています。これは、頻繁に顧客損失につながります。ゲーミングインフラに数十億ドルもの金額が投資されているため、ネットワーク品質が低いことが原因で失敗することは許されません。幸いなことに、テスト戦略を正しく選べば、それをすべて回避できます。
次回の記事では、レイテンシデータのベンチマーク化と、それがゲーミングに与える影響について解説します。
Spirentのクラウドと仮想化のテストとアシュアランス、およびクラウドゲーミングに向けた5Gネットワークのベンチマーク化ソリューションをご覧ください。