5Gは通信の新時代の到来を告げるもので、超高速かつ超信頼性のサービスをベースに適応性と機動性に優れた、文字通り人生を変えるような機能を約束します。クラウドベースのネットワーキング、マルチベンダー環境、プライベートネットワーク、エッジコンピューティングなどの新しいアプローチを取り入れることで、5Gは配信速度と信頼性の飛躍的な向上を約束します。しかしこのようなサービス革命により、プロバイダが掲げる5Gサービスを保証するためにはサービス保証のアプローチ自体に大きな進化が必要となります。
過去20年間、プロバイダーは何億ドルもの費用をかけて従来のパッシブプロービング保証システムでネットワークを計測してきましたが、今でもエンドツーエンドの問題の根本原因を切り分け、大規模なネットワーク障害を回避し、問題解決を自動化することに苦労しています。5G の導入により基盤となるネットワークインフラが完全に仮想化され、高度に分散化され、プロバイダが部分的にしか所有していないことが多くなったため、こうした困難が飛躍的に増大しました。次世代の5G ネットワークは従来のネットワークよりもはるかに動的で頻繁に変化するため、実際の障害発生時に特定の場所に計測ツールを導入する手法はすぐに過去の遺物となります。
2種類の主な保証アプローチ
保証の方法は一般的にパッシブまたはアクティブのどちらかと考えられています。
パッシブ・アシュアランス: ネットワークの要所に物理的なプローブを設置し、そのノードを流れる実際のユーザートラフィックを収集・分析します。このデータを集計してKPI(Key Performance Indicator)を作成し、問題の検出やアラーム・アラートの設定・発出のトリガとして利用します。
アクティブ・アシュアランス: 仮想(またはアクティブ)テストエージェントはネットワークインフラに統合されています。これらの仮想エージェントは少量のユーザ・トラフィックをエミュレートするために使用されます。この決定論的なデータセットはKPIをサポートするために集計され、複雑なネットワーク全体の問題をセグメント化して分離するためにも使用されます。
パッシブ・アシュアランス(受動的保証)とアクティブ・アシュアランス(能動的保証)に関する記事の多くは異なる利用モデルを前提とした二重のアプローチを推奨しています。歴史的にアクティブ・テストは導入前の使用シーンやトランスポート層のヘルスチェックに限られてきました。一方、サービス(アプリケーション)保証に関連するパラダイムはパッシブ・アシュアランスが主流でした。
5Gは変曲点を生み出し、ダイナミックな環境におけるその柔軟性と拡張性からアクティブ・テストによる常時接続のサービス保証モデルとして市場の関心を加速させました。パッシブ・プロービングのインフラに固執してアクティブ・テストを導入しないプロバイダーがいるのか?という疑問には商業的、技術的な両方の点から答えがあります。
アクティブテストへの挑戦
商業的な課題
パッシブプロービング: 長年にわたる組込みシステムの導入と現状維持の保証方法を望む方々の支持に代表されています。このような方々は予算の所有者ではないかもしれませんが、購入の意思決定に大きな影響力を持っています。
アクティブテスト: 新規参入者ということで、「継続的なアクティブテスト手法は実力があり、長年のパッシブ手法よりも優れている」ことを証明する必要があります。これは幅広いPoCやトライアルがとても多いことがその証です。
技術的な課題
パッシブプロービング: ネットワークインフラに関する深い知識を必要とせず独立したシステムです。プローブインターフェースに対応する速度やデータフィードの基本的な理解で十分な場合が多いです。
アクティブテスト: テストエージェントとエミュレートされたトラフィックはネットワークを監視する外部装置ではなくネットワークの一部として機能しているため、基盤となるインフラについてより深い知識が必要になる場合があります。
パッシブからアクティブへの転換という商業的、技術的な課題は5G技術の進化により飛躍的に容易になりました。5Gへのアップグレードを進めている大手プロバイダーのサービス障害のニュースを目にしない四半期はめったにありません。これらのプロバイダーはいずれもパッシブプロービングを相当数導入しており、その有用性は日々低下しています。
パッシブアシュアランスとアクティブアシュアランスの主な違い
モニタリングと実装
パッシブ・アシュアランス: ネットワーク内の特定の高トラフィック集約ポイント(片方向または双方向)を監視します。
アクティブ・アシュアランス:ネットワーク上の任意の場所でエミュレートしたトラフィックを用いてパフォーマンスを測定し、エンドポイントもしくはネットワーク上の任意の中間ポイントで測定します。
パフォーマンス測定
パッシブ・アシュアランス: ネットワークが顧客のライブトラフィックでアクティブになっているときのみパフォーマンスを測定できます。
アクティブ・アシュアランス: ユーザーがネットワークを使用する前でもエミュレートされたトラフィックでパフォーマンスを測定できます(サービスイン前の検証)。
適応
パッシブ・アシュアランス: ハードウェアアプライアンスの位置が固定されているため、動的なネットワークのトポロジー変化に対応できません。
アクティブ・アシュアランス: ネットワークの変化に応じて自動的にサービスをコピーし、KPI生成を中断することなく最適化できます。
課題の特定
パッシブ・アシュアランス: 重大な問題を検出し、どれだけのユーザが影響を受けているかを判断できます。
アクティブ・アシュアランス: 小さな問題が顧客に影響を与える大きな問題になる前に特定し、SLA違反を回避できます。
4G LTEはコアネットワークは通常4つ以下のデータセンターで構成され、パッシブにプローブする重要データの出入口は8〜10箇所です。5Gの場合、プロバイダは何百ものパッシブ・プローブを導入しサポートしなければなりません。
アクティブ・アシュアランスの主なメリット
要約すると、5Gではネットワーク全体にアクティブ・アシュアランスを導入することで多くのメリットが得られます。
アクティベーション・テストの効率化新しいネットワーク機能やサービスを有効化し、本番運用に移行する前にエミュレートされたユーザ・トラフィックでパフォーマンスを予測することができます。
トラブルシューティングの自動化機械学習により異常が検出され、トラブルシューティングのテスト手順が自動的に開始されます。
信頼性の高いパフォーマンスを提供サービスが停止する前に潜在的な問題をプロアクティブに特定し修正することで、コストのかかるSLA違反を回避します。
問題をプロアクティブに検出トラフィックレベルが低いサービス開始前にパフォーマンスを検証し、重大な影響を及ぼす前に小さな問題を発見します。
エンドツーエンドの可視化ネットワークとサービスの完全な可視化(エンドツーエンドおよび各ドメイン内)により問題領域を即座に特定し、より迅速な改善を実現します。
エミュレートトラフィックの活用顧客に影響を与える実際の障害発生を待たずにパフォーマンス問題を特定できます。
アクティブ・アシュアランスがネットワーク・パフォーマンスの信頼性を高められる理由について、Spirent eBook「5Gアクティブ・アシュアランス:新しい視点を取り入れる」をぜひご覧ください。